(ミランダ・ブルース=ミットフォード「サイン・シンボル事典」より)
記号(文字)について
白川静は、 言葉の古さを数十万年といい
文字の歴史を「きわめて新しい」という。
紀元前31世紀の 古代オリエントの古代象形文字、
エジプトの神聖文字ヒエログラフ、
シュメールの楔形文字・・これらは死せる文字で、
「文字はその文化の敗北によって滅びる」
by白川静(著作集第1巻 平凡社 1999)
文字の歴史を「きわめて新しい」という。
紀元前31世紀の 古代オリエントの古代象形文字、
エジプトの神聖文字ヒエログラフ、
シュメールの楔形文字・・これらは死せる文字で、
「文字はその文化の敗北によって滅びる」
by白川静(著作集第1巻 平凡社 1999)
文字とはなんだろうか・・・・・・・
文はおそらく文身(いれずみ)
(
おそらく死体を聖化する儀式としてのもの)
字は家の廟の中に子の立つ形
名はタの部分が肉の省略形で口は祝詞を入れる器
祝詞を奏上して名を告げる=加入式
産・・・(上の部分は文)額に墨で書く
文字とは何より厳粛な儀式に使われた。
馬の鬣(たてがみ)
出典『漢字の字形』第1章の 扉絵
落合淳思著中公新書2019年刊
甲骨文字
「字解」や「字統」
平凡社の「常用字解」という便利な小事典が2003年12月に出たのですが、この字典の表紙にも、口の字がでています。
白川静さんが最も言いたいことは、
この口の字こそ祝詞を入れた容器なのだということ。
この「常用字解」簡便で面白いです。
ちょっと解説すると、
要するに1899年に甲骨文字(=漢字成立期の資料)が発見され、
また、その後、殷の金文も発見され
※( そのあたりがわかる本)⇒ 『文字の発見が歴史をゆるがす―20世紀中国出土文字資料の証言』 福田 哲之 (著)
それまでの秦代の篆文が資料であった「説文字解」、
いや「説文解字」という紀元100年以来の聖典が
誤っていることが多いのがわかったのですね。
そこで、白川静さんの「字解」や「字統」(1884) の登場です。
また、白川静さんは、漢字とは、
その時代の社会的儀礼、加入儀礼の実際に即して生まれたものだ、という見解です。
最近(白川静著作集の20年後)落合淳思さんが、先行研究の問題点も検証する『漢字の構造 古代中国の歴史と文化』中公選書(2020年刊)を刊行された。またまた興味深い。巻末に用語解説もあります。
「サイン・シンボル事典」
「サイン・シンボル事典」での解説では
神聖文字ヒエログリフは・・
紀元前3000年以上前
象形文字
=ピクトグラム(規格化された象徴記号の体系)と
⇒+言葉の発音を示す記号導入で
ヒッタイトのイデオグラム(表意文字)
=象形文字をより抽象化したもの
楔形文字=象形文字から発展したもの
3000年間以上使用
シュメールの粘土小片の象徴記号(シンボル)
農耕や商業に関するもの1500解読
神聖文字ヒエログリフは・・
紀元前3000年以上前
象形文字
=ピクトグラム(規格化された象徴記号の体系)と
⇒+言葉の発音を示す記号導入で
ヒッタイトのイデオグラム(表意文字)
=象形文字をより抽象化したもの
楔形文字=象形文字から発展したもの
3000年間以上使用
シュメールの粘土小片の象徴記号(シンボル)
農耕や商業に関するもの1500解読
象形文字とは何か
(1)(エジプトの)象形文字=
多くは動植物・花の様式化された絵と
フォノグラフ(表音文字)の組み合わせである。
(2)上下左右どこからでも読めるものであり、
動物や人物の表現によって読む方向がわかる
(顔が右向きなら、文書は右から左に読む)
フクロウは文章の流れを示し
幸運の目は(ホルスの目 ワジェット・アイ)
呪術的な力をもち、
書記ははよく書物にこの目を書き入れた
多くは動植物・花の様式化された絵と
フォノグラフ(表音文字)の組み合わせである。
(2)上下左右どこからでも読めるものであり、
動物や人物の表現によって読む方向がわかる
(顔が右向きなら、文書は右から左に読む)
フクロウは文章の流れを示し
幸運の目は(ホルスの目 ワジェット・アイ)
呪術的な力をもち、
書記ははよく書物にこの目を書き入れた
ヒエログリフの700のサイン
アラン・ガーディナー(*1)が
古代エジプトのヒエログリフ(*2)を使った 700のサインを編集した。
彼の著書の「エジプト文法」とリストは エジプト学のスタンダードになった。
English Egyptologist, Sir Alan Gardiner,
compiled a list of 700 seperate signs
used in Ancient Egyptian hieroglyphs.
His book "Egyptian Grammar",and this list has become
the standard in Egyptology.
Both are an absolute "must" for
any serious study of ancient Egyptian writing.
古代エジプトのヒエログリフ(*2)を使った 700のサインを編集した。
彼の著書の「エジプト文法」とリストは エジプト学のスタンダードになった。
English Egyptologist, Sir Alan Gardiner,
compiled a list of 700 seperate signs
used in Ancient Egyptian hieroglyphs.
His book "Egyptian Grammar",and this list has become
the standard in Egyptology.
Both are an absolute "must" for
any serious study of ancient Egyptian writing.
アルファベットの歴史
※アルファベットは、
まずエジプトの象形文字があり
フェニキア人が紀元前11世紀頃それを手本に
子音だけを表す文字体系アルファベットを作り
ギリシア人が母音を加え
ローマ人がラテンアルファベットを発明した。
(「?」や「!」などの記号も)
……というまとめでいいかな?
フェニキアに関するWEBサイト↓、なんと1000ページという……
https://phoenicia.org/index.shtml(英語)
フェニキア人が紀元前11世紀頃それを手本に
子音だけを表す文字体系アルファベットを作り
ギリシア人が母音を加え
ローマ人がラテンアルファベットを発明した。
(「?」や「!」などの記号も)
……というまとめでいいかな?
フェニキアに関するWEBサイト↓、なんと1000ページという……
https://phoenicia.org/index.shtml(英語)
中国の文字
漢字の成立は紀元前14世紀で、 ただひとつ不死鳥の如く残っている象形文字である。
中国の文字体系
タカラガイ (子安貝)
「サイン・シンボル事典」にタカラガイの項があり、・
多くの古代文化において、
これらの小さな貝は貨幣して用いられた、と。
中国では貝の形のデザインは文字体系の中で お金の象徴となった。
殷代の遺跡から発見された子安貝
当時は貝殻を紐でつないで束にしていたため、背側には紐を通すための穴があけられている。(出典『漢字の字形』
落合淳思著中公新書 p45 ( 2019)>
⇒象形文字 漢字 かい(貝扁)へん・・
以下各頁へ・・
* 象形文字と記号(2004/09/05)
* 土(文字)(2010/09/22)
* 蟲(文字)(2008/10/25)、媚蠱(-2011年11月)
* 天(文字)(2007/10/25)
* 「麦」、漢字暦「禾」(2011年10月)
* 尺(文字)(2006/10/01、2008-09-22直し)
* 羊(文字)(2006/09/25)、漢字暦「羊」(2011年9月)
* 羊(象形+象徴)(2006/07/02)
* 「王」「神」(象形文字の例)(2005/09/11,2014/04/12)
* アルファベットの起源(フェニキア2004/12)
* エジプトの神聖文字(2004/10)
* 土(文字)(2010/09/22)
* 蟲(文字)(2008/10/25)、媚蠱(-2011年11月)
* 天(文字)(2007/10/25)
* 「麦」、漢字暦「禾」(2011年10月)
* 尺(文字)(2006/10/01、2008-09-22直し)
* 羊(文字)(2006/09/25)、漢字暦「羊」(2011年9月)
* 羊(象形+象徴)(2006/07/02)
* 「王」「神」(象形文字の例)(2005/09/11,2014/04/12)
* アルファベットの起源(フェニキア2004/12)
* エジプトの神聖文字(2004/10)
漢字の基礎知識 漢字学事始め(2013/07/13)
(「象形文字/漢字」”漢字暦を読む”目次(2011以後継続中)
フェストス円盤文字Phaistos Disk(クレタ島)
https://p-shock.com/menuhtml/c_03-12-exl-01.htm
https://p-shock.com/menuhtml/c_03-12-exl-01.htm
WEB検索
世界の現用文字28種すべてと、歴史的文字89種を集めたサイト
https://www.nacos.com/moji/index.html (by中西印刷さん)
https://www.nacos.com/moji/76-2.htm
世界の現用文字28種すべてと、歴史的文字89種を集めたサイト
https://www.nacos.com/moji/index.html (by中西印刷さん)
https://www.nacos.com/moji/76-2.htm
漢字学文献
阿辻 哲次著『漢字文化の源流』
(丸善[京大人気講義シリーズ] 2009/12刊)
落合 淳思 著『漢字の成り立ち [説文解字]から最先端の研究まで) 』(筑摩選書 2014/4刊)
落合 淳思 著『漢字の成り立ち図解』 (人文書院 2022/9刊)
円満字 二郎 著『部首ときあかし辞典』(研究社 2013/5/21)
記号と言語
鈴木 孝夫 (著) 「教養としての言語学 」 岩波新書(1996年9月刊)
池上 嘉彦 著 「記号論への招待 」岩波新書(1984年3月刊)
『ウンベルト・エーコの世界文明講義』 河出書房新社 (2018/11/21) 和田忠彦 (監修)