漢字暦
「字源は体系的に、字群によって証明されることを要する」(「字統の編集について」白川静)
禾・年・委・季
(以下引用)
「年(ねん)」は「禾(か)」と「人」から成る。
「禾」は禾形の被りもので稲魂(いなだま)。
「年」はこれを被って舞う人の姿で、祈年(としごい)の舞(まい)をいう。
男女相偶して舞い、女の場合は「委(い)」といい、
低い姿勢で舞う。子どもの舞う字は「季」。
農耕の儀礼に男女が舞うのは、その性的な模擬行為が、生産力を刺激すると信じられたからである。
更新日2011年9月30日(金)
加
(以下引用)
「 力(りょく)」は耒(好き)の形。
それに祈りの祝詞を収めた
(さい)をそえたものが、「加(か)」であるから、
「加」は耒を清める儀礼である。
農具にけがれがあると秋になって
虫害(ちゅうがい)を生ずるので、
耕作の前後に器具を清めておくのである。
更新日2011年10月7日(金)
嘉
(以下引用)
「加」の上に鼓(つづみ)の形を添えたものが
「 嘉(か)」である。
農機具などにひそむ害虫の邪霊を追い出すのには、
鳴り響く鼓の音が有効とされた。
その結果、よい禾穀(かこく)が収穫されることを「嘉」という。
神に供えるものを「嘉穀(かこく)」のようにいう。
更新日2011年10月18日(火)
始
(以下引用)
「始(し)」の字に含まれている「台」は、もと耜(すき)を祓(はら)う儀礼を意味する字であった。
「厶(し)」が耜の形、それに祝詞を収める器の形
を加えて、
清めることを示す。
「始」という字は、もと農耕をはじめる時の儀礼をいう。
女には生産の力があるので、耕作をはじめる時の儀礼を「始」という。
更新日2011年10月27日(木)
文
(以下引用)
文字は古くは、ただ 「文(ぶん)」と呼ばれた。
「文」とは、慶弔の時に顔や胸などに加えられる
呪飾(じゅしょく)(
まじないの文様)で、
これによって人は聖化され、
死者の霊は永生を獲得するのである。
すなわちそれは新しい世界への加入の儀礼である。
それで故人となった父母は「文考(ぶんこう)」
「文母(ぶんぼ)」のようにいう。
更新日2011年10月27日(木)
角川大字源の解字には、
衣服の襟元が胸の前で交差している形をかたどる。
「ブン」の音は、襟の交差している意(=樊 ハン)と関係がある
幾重にも着物を重ねて、襟がきれいに交差した形で、襟元がきちんとあって美しい意
・・角川の方は違うだろうとおもう・・が、白川静の言う
故人となった父母は「文考(ぶんこう)」 「文母」という・・というのは初見。両方とも広辞苑にはない。ネットにも無論ない。
また。
「文考」:周の文王の死後の称。転じて、亡父の美称。「考」は亡父
・・とある、これはこちらの方がわかる(~_~;)
「文母」はなく、こういった熟語は100%「分母」の間違いとされるであろうと思うし・・しくしく
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neko_atama_byM's Archive
(さい)
神に祈り誓うときの祝詞を入れた入れ物
落合淳思さんの「甲骨文字小字典 」 ( (筑摩選書)2011/02/16刊)なども
参照しながら、後ほどさらに追記します。
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