白川静漢字暦 (2018年)


しるす

十一月の字は、「しるす」

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銘、紀、識、題、籍の字解です。 (引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) 今年も、まず、甲骨文字・金文の字形を見ておき、他に「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編)や 「角川大字源」などの辞典、また日本漢字能力検定協会の漢字ペディアなどからも、随時追加します・・ 

更新日  2018年11月18日(火)


甲骨文

==以下引用===========

「銘」の声符は「名(めい)」。
【説文新附】十四上 に「記すなり」という。
【左伝、襄十九年】「 彝器 (いき)を作り,
其の功烈を銘して、以て子孫に示す」とみえる。
心に深くしるすことを銘記・銘刻といい、
また銘心鏤骨(るこつ)のようにいう。

「明記」と「銘記」
「明記」とは、はっきりと書きしるすこと
「銘記」とは、心に深く刻みつけて忘れないこと。また石碑や金属器などに刻みつけた文字や文章  http://imijiten.com/

銘心鏤骨 心にしっかりと刻み込み、決して忘れることがないこと。
「銘心」は心に刻み込むこと。
「鏤骨」は骨に刻み込むこと。https://yoji.jitenon.jp/

Keep in mind
memorize
remember

 篆文


==以下引用===========
「紀」の声符は己(き)。
己は糸をくりとる器の形で、

おそらく己が紀の初文であろう。
【説文解字】 十三上に絲の別あるなり」とあり、
糸すじを分かつ意とする。
【礼記、礼器】に君子の行礼を論じて
「衆の紀なり。紀散ずれば衆亂る:とあって
紀綱(きこう)(国の大小の規律。
小を紀といい、大を綱という。
この大綱を治めることを経紀、
本末を記すことを紀事という。

紀 外字訓(のり)
紀す 外字訓(しる・す)
1.のり、きまり、すじみち
「紀綱」(国を治める制度)「軍紀」「綱紀 」
2.とし、年代。
「紀元」「世紀」
3. しるす
順序だてて書く、記録する
「紀行」「紀要」
4.「日本書紀」の略 
5.「紀伊の国」の略 (『漢検漢字辞典』より 20181128)

 


金文

==以下引用===========
「識」の声符 戠(しょく)。
戠は戈(ほこ)に呪飾を加えた形で、
標識とする意がある。
【説文解字】三 上に「常なり」、
また「一に曰く、知るなり」という。
「常なり」とは、織文のある旗の意で、
いわゆる旗幟(きし)(はたとはたじるし)。
標識の意から、知る、
知識などの意となる。

識る 外字訓(し・る)「彼の才能を識る」「正否を識る」
識す 外字訓(しる・す)「心に識す」
1.しる
識見:物事を正しく見極める力。
識者:高い識見を有する人。「識者に意見を求める」

2.しること、考え
見識の高い人、善悪の識別
3.知り合いになる
面識
4.しるし
識語(しきご=「しご」の慣用読み):写本・刊本などの本文の前やあとで、本の来歴や書写の年月日などを記したもの
標識意識、学識、認識、常識、博識、良識
(『漢検漢字辞典』より 20181128)

音符: 戠
織 ショク・シキ おる
職 ショク・シキ つとめ、はたらき
識 シキ・ショク・シ 知る、しるす
幟 シ のぼり
熾 シ さかん、おきび
(『漢字音符字典』より 20181128)


古印璽

==以下引用===========
「題」の声符は是(ぜ)。是に醍(だい)の声がある。
【説文解字】九上に「[各+頁](ひたひ)なり」とあり、また定ともいう。
【楚辞、招魂】に「雕題黒齒」と見え、
古く南方には額に入れ墨し、
お歯黒を用いる俗があった。
額は顔の中央正面のところであるから、
室の中央正面に掲げるものを題額、
書冊には題署(だいしょ)・題簽(だいせん)という。
その他題字・題目のように用いる。

 

 

 


篆文

==以下引用=========
「籍」の声符は、耤(せき)耤は耕耤(こうせき)。
土を耒(すき)で起こすこと。
昔(せき)はその声符で腊肉(せきにく)の形。
うすく重なった肉をいう。
そのように土を起こすことを耤といい、
竹や木をそのように薄片とすることを籍という。
これを綴じて簿書とする。
【説文解字】 五上に「薄書なり」とみえる。
【左伝、昭十五年】に、晋の図書を掌る籍氏の名がある。
秦・漢以後、木簡・竹簡の類が行われ、
典籍の重要性に応じて、大中小の定めがあった。

20181210

以上、平凡社の2018年11月の漢字暦より。

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