白川静漢字暦 (2018年)


になう

五月の字は、「になう」

2018年5月の漢字

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2018年5月は、「になう」の意味のある、

任、担、何、輦、侘の字解です。 (引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) 今年も、まず、甲骨文字・金文の字形を見ておき、他に「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編)や 「角川大字源」などの辞典、またWEBサイトからも、随時追加します・・ 

更新日  2018年6月8日(金)


金文

==以下引用===========

「任」の声符は壬(じん)。壬は工具。
工形のもので、金文字形は縦の線に中肥のところを加えており、
鍛冶(たんや)するときの台の形であろう。
任載の意味の地位、【礼記、王制】「輕き任は幷(あは)せ、
重き任は分(わか)つ」は荷物の意。
【詩、大雅、生民】「是れを任(にな)ひ是れを負府」は負担・負任の意。
そのことに堪える意より、任務・責任の意となり、
人に任せることを委任という。

担(儋)

 篆文

==以下引用===========

「担」の正字は儋に作り、儋声。
  【説文解字】八上に「儋は何(にな)うなり」とあり、
擔はその俗字、担はその略字である。

 金文

==以下引用===========

「何」の声符は可(か)。 

甲骨文の字形は戈(ほこ)を荷(にな)う形につくり、
それが初形であろう。すなわち荷の初文。 
【説文解字】 八上に「儋(にな)うなり」とあり、加担する意 。
【詩、商頌、玄鳥】に「百禄を是れ何(にな)う」、
【詩、商頌、長発】に、「天の休(たまもの)を何(にな)う」とあり、
古くは何をその義に用いた。金文に に作る形があり、
顧みて誰何(すいか)する形。
のち、両字が混じてひとつとなったものであろう。


 

金文

==以下引用===========

「輦(れん)」はと車とに従う。 
は車のくびきの形。
【説文解字】十四 上に「輓(ひ)く車なり」とし、
に従う意について、「車前に在りて之れを引くなり」とする。
を二夫が並ぶ形と解するものであろうが、
は馬などにくびきをつけた堅い。金文にはおsの形につくる。


 

  金文

==以下引用===========

「侘」の声符は它(た)。它は蛇がとぐろを巻く形。
そのようにふくらみのある形のものをいい、
水の溢流して池をなすものを沱、
衣の袖を、緩く紐を曳くを拕という。
【説文解字】 八上に、「負荷するなり」とあり、
背に袋などを負うことをいう。
馬に負わせるを駝といい、俗にまた駄(だ)に作る。   

以上、平凡社の2018年5月の漢字暦より。

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