白川静漢字暦 (2018年)


たかい

十月の字は、「たかい」

me
高、貴、喬、峻、敞の字解です。 (引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) 今年も、まず、甲骨文字・金文の字形を見ておき、他に「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編)や 「角川大字源」などの辞典、また日本漢字能力検定協会の漢字ペディアなどからも、随時追加します・・ 

更新日  2018年11月13日(火)


甲骨文

==以下引用===========

「高」は京の省文と口とに従う。
京は戦場の遺棄死体を塗りこんで作った凱旋門

そこで呪祝がおこなわれた。口はサイ
そのような祝詞を収める器の形。
高明の神を招くところである。
高楼・高門の意から、すべて高大なものをいう。


 篆文


==以下引用===========

「貴」は臼(きょく)と貝とに従う。
貝を両手(臼)で捧げる形。
貴重なものとして扱う意を示す。

【国語、晋語】に「貨を貴びて土を易(かろ)んず」、
【老子、第三章】「得難(えがた)きの貨を貴ばざれば、
民をして盜(とう)を為さざらしむ」など、
みな貴価の義。それよりして人の地位・身分、
また性惰や技能について、高くすぐれているものをいい、
広く敬称として語の上に冠して用いる。
貝貨(ばいか)を人に贈ることを遣といい、
食事を人に贈ることを饋(き)という。
  
重文の字形について、「或いは弓の丸を持するに従ふ」とあって、
小丸を弾く意とする。甲骨文に、弦に丸をそえたもの、
また弓弦を断続する形にしるすものがあり、
弓弦を弾く形のものは、
古く行われた弾劾の法を示すものであろう。
卜辞に「姜(きょう)五十を弾せんか」とあるのは、
犠牲として姜人を祓う方法であろう。
弓弦には種々の呪的な用法があったようである。
跳出・跳躍の意に用いる。水を渡ることをいう。
これより渡過する意となる。 

弾劾の法
だんがい【弾劾 impeachment】
広く立法部における刑事訴追手続を指す

 


甲骨文

==以下引用===========
「喬」は夭(よう)と高とに従う。
甲骨文・金文の字形に、
アーチ状の門を示す高の上に、
呪飾として表木を立てたものがあり、
いわば鉾立(ほこたて)をした建物である。
そこに神を迎え、
悪邪の出入りを呵止(かし)する楼門の象であろう。
下に祝詞の器であるサイをおくことは高と同じ。
【詩、周頌、時邁(じまい)】に(喬嶽 きょうがく)の語があり、
高くして神聖なものを喬という。


篆文

==以下引用===========
「峻」の声符は夋(しゅん)。

夋は厶(耜 すき)を頭にした神像で、
高峻の意がある。
山容の峻嶮(しゅんけん)であることから、
人の峻厳・峻刻なる意に用いる。 


 

 


篆文

==以下引用===========

以上、平凡社の2018年10月の漢字暦より。

上に戻る