2018年6月は、「たくわえる」の意味のある、
貯、蓄、蔵、庤、儲の字解です。 (引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) 今年も、まず、甲骨文字・金文の字形を見ておき、他に「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編)や 「角川大字源」などの辞典、またWEBサイトからも、随時追加します・・
更新日 2018年7月15日(土)
甲骨文
==以下引用===========
「貯」の声符は宁(ちょ)。
宁は収蔵する箱の形。
甲骨文には宁の中に貝を記すものがあり、
その字は貯。
金文には宁の中に戈(か)
をしるすものがあり。、
宁は櫃(櫃)のような形の箱であろう。
【説文解字】六下に、「積むなり」とあって、貯積の意。
財貨を貯、農穀を積という。
畜金文
==以下引用===========
「蓄」の声符は畜(ちく)。
畜は染色鍋(田の形)に糸束(玄の形)を漬(ひた)して染色する意。
久しく停畜して染めることをいう。
【説文解字】一下に「積むなり」とあり、草を積聚する意。
積は禾穀を積み上げること。
あわせて蓄積といい、蓄聚・収蔵することをいう。
のち蘊蓄のように用いる。
==以下引用===========
「蔵」の旧字は藏に作り、臧声。
【説文解字】一下に「匿(かく)すなり」と訓し、
徐鉉
の按語として、「漢書に通じて臧を用ふ。
艸に従ふは、後人の加ふるところなり」とする。
藏には古い字形がなく、その艸に従う意を確かめがたい。
倉と声義の関係があるようである。
人の行方をくらますことを藏跡、才能を隠すことを藏光、
蔵して楽しむべきものは、書画文房の具である。
==以下引用===========
「庤」の声符は寺(じ)
【詩、周頌、臣工】に
「乃 (なんじ)の錢鎛(せんぱく 農具)を
倉庫に保管することをいう。
農具は神倉に納め、その出入りの際には虫よけなどのために修祓を加えた。
==以下引用===========
「儲」の声符は諸(しょ)。諸は者(しゃ)声 。
者に著(ちょ)の声がある。
諸は多くの祝告・呪符をいい、諸多集積の意がある。
【説文解字】 八上に、「
亻+待
(そな)ふるなり」とあり
儲積する(たくわえる)ことをいう。
別字 偖(さて) :発語の言葉
以上、平凡社の2018年6月の漢字暦より。