2017年8月は、「はるか」の訓のある、(杳,泂,冥,淼,遼)の字解です。
(引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) まず、甲骨文字・金文の字形を見ておき、他に「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編)や 「角川大字源」などの辞典、またWEBサイトからも、随時追加します・・
更新日 2017年9月7日(水)
「はるか」というと遥「「遥か」ですが、この字はなく、でていたのは、常用ではない字。以下に見ていきます。
==以下引用===========
「淼」は三水に従う。
【説文新附】十一上 に「大水なり」とあり、
「或いは渺(びょう) に作る」とあって、渺と同字。
淼茫、淼漫など、水がはてしなく広がるさまをいう。
長江がその生活域となった六朝期の詩文に多く用いられる。
==以下引用===========
「杳(よう) 」は 日と木とを組み合わせた形。
日が森に沈む意。
[説文解字]六下 に「冥(くら) きなり。日の木下に在るに従ふ」とあり、
薄明の意から、遥か、遠い、深いの意となる。
==以下引用===========
「泂(けい) 」の声符は、
冋(けい) 。
冋に泂遠(けいえん)
の意があり、地には坰、水には泂という。
【詩、大雅、泂酌】に泂(とほ) く彼(か) の行潦(かうらう) (小さな流れ)に挹(く)み、彼に挹みて茲(ここ)に注ぐ」とあって、
遠く聖水を汲むことを歌う。
寒冷の意は、清冷の水から導かれたものであろう。
==以下引用===========
「冥」は全体が象形で、幎冒(べきぼう) (死者の面を覆う巾(きれ)の形。
【儀礼、土喪礼】に「幎目(べきもく) には緇(くろ) (黒布)を用ふ。
方尺二寸、裏を[赤+甾](あか) くし、組繫(そけい) を著(つ) く」とあり、
死霊を隔離するために、幎冒をもってその面を覆うた。
字の下部はその組繫をたれた象である。
これによって幽冥のことが決するので、冥暗
の意となり、
死後のことを冥という。
それにより幽遠・玄遠の意となる。
==以下引用===========
「遼」の声符は、尞(りょう) 。
尞の初文は [小の部分が火]で、庭燎(ていりょう) (にわび)をいう。
ゆえに明るい、めぐる、遠いの意がある。
[説文解字]二下 に「遠きなり」とあり、遼遠の意とする。
白川静 漢字暦の引用勉強は以上である。