白川静漢字暦 (2016年)


かさねる

十ニ月の字は、「かさねる」

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2016年12月の字は「とう」の訓のある字。(引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) まず、甲骨文字・金部の字形を見ておき、 内容は随時追加します

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更新日  2016年12月27日(火)

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==以下引用===========
「厽」(るい)は土をかさねた形。
〔説文解字〕十四下)に「抜土(ばつど)(あつ)めて牆壁(しゃうへき)と為す」とあり、
抜とは鍬で掘り起こした土。
それを重ねて崩れぬように積み上げる。
屋外の軍壁や民家の障壁にこの種ものが多い。
塁と同義とみてよい。

 金文

==以下引用===========

「重」 は東と土とを組み合わせた形。
東は上下を括った嚢(ふくろ)の形で、嚢のもとの字。
嚢の下に錘(おもり)のように土を加えた形が重で、
「おもい」の意味となる。重量(おもいこと、おもさ)の意味から、重層、重累(ちょうるい)(かさなること)、重要、慎重などの意味に用いる。 

塁(壘)

 金文

==以下引用===========
「塁」のもとの字は壘に作り、声符 は畾(るい)。
畾は土を袋につめて積み重ねた形で、
土のまま固めて積み重ねた形は厽(るい)。
〔説文新附〕十三上に「軍壁(とりで)なり」とあり、
軍営の土嚢を積み重ねた土壁、「とりで」をいう。
国語では野球のbaseの訳語「るい」の意味につかる。

※畾はIMEパッドでは読みが「ライ」

 

糸偏に重

  金文 

==以下引用===========
(しょう)」の声符は重。
金文の字形はにつくり、はその形声字。 

亂(乚をぬかした字、爪の下にマ冂ムヌ)(らん)は糸枷(いとかせ)にかけた糸の上下に手を加えている形。
東は袋の象形。この中に糸たばを入れる。
下の田は染色の汁を入れた鍋の形。
この中に三入、五入して、
次第に色を深めるので、
かさねるの意となる。 

 

 簡書

==以下引用===========
「習」のもとの字は羽と曰(えつ)を組み合わせた形。
曰は(祝詞を入れる器)の中に祝詞が入っている形で、
その上を摺(す)ることを習という。
祝詞を入れる器を羽で摺るのは、その祈りの効果を刺激する行為であり、
それを繰り返すことを習うという。
習うとは国語では慣れるの意味で、
そういう行為を習(かさ)ねることは、慣れ翫(もてあそ)ぶ行為である。
一定の行為を習(かさ)ねることから、慣れて慣習となる。
それで習は「くりかえす、ならう、かさねる」の意味となる。


字体のところの「簡書」の意味がよくわからない
wikimatome・・書簡の字?が字体?
 

 篆文

==以下引用===========
「襲」は龍(竜)と衣とを組み合わせた形。
おそらく死者の衣の上に、龍の文様の衣を襲(かさ)ねて着せたのであろう。 
また位を襲(つ)ぐ儀礼のとき、その衣を上に襲かさねたので、
「つぐ、うけつぐ」の意味となり、
後からその地位を襲(つ)ぐので、「おそう」の意味となる。

同訓異字についての追加(角川『大字源』巻末
(しゅう)、申(しん)、 重(ちょう、じゅう)、 畳(疊)(ちょう、じょう)、 累(るい)の 5字

 :衣をかさねる。またそのように、前のままでそっくりに重ね、重なること。「世襲」→つぐ。

:形態の上には使わない。言葉をかさね繰り返すことに多くん用いる。「かさなる」には用いない。

:ある上にかさなる。「万重山」

畳(疊)

:たたみかさねる、かさなる。重の代用もする。「畳韻」

:まるい物がかさなる、また、かさねる。累卵。転じて、広く用いるが、薄いものには使わない。「累積」

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