白川静漢字暦 (2016年)


むかう

四月の字は、「むかう」

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2016年4月の字は「むかう」の訓のある字 。(引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) まず、甲骨文字・金文の字形を見ておき、 内容は随時追加します

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更新日  2016年9月19日(月)

郷(鄕)

==以下引用===========
 「郷」のもとの字は鄕で(きゅう)と(ぼう)を組み合わせた形。
卯は人が向かい合って坐っている形。
皀は (皀殳)で、先祖の祭りのときに食事を盛って供える器。祭りの後の饗宴のときに皀殳()を挟んで二人が座っている形が鄕で、「むかう」の意味となる。


==以下引用===========
 「対」のもとの字はにつくり、(さく)ととを組み合わせた形。
は上部に鋸歯のついた掘鑿の道具。
これを手(寸)に持って土を撲(う)ち固める形が對で、「鬱」の意味となる。
版築(はんちく 板と板の間に入れた土を撲ち固める建築法)のとき、二人が相対して土を撲つので、「むかう、あう、こたえる」の意味に用いる。

向 

==以下引用===========

「向」は※(けい)と口とを組み合わせた形。
※は窓の形、口は(サイ)(祝詞を入れる器の形)
向はもと神を迎え、神を祀る窓であった。
のち、(きょう)と通じて「むかう」の意味に用いる。  


 

==以下引用===========
「面」は目だけ現れている仮面の形。
神事的な儀礼の際にはいろいろの仮面が使用されたらしく、戯や劇の字形によると、虎の皮のかぶり物が使用されたことが知られる。
のち、顔面の意味となり、「おもて、かお、つら、むかう」の意味に用いる。 

 
 

==以下引用====

「赴」の声符は(ぼく)。
〔説文解字〕二上に「(おもむ)くなり」とあり、速やかに至ることをいう。
「おもむく、ゆく、むかう」の意味に用いる。
新しい勤務地に行くことを赴任という。

ここで、白川静『字訓』をみると「おもぶく」おもむく(面向く)の項に挙げられたのは、向・赴・趣の3字(常用漢字)で、「角川大字源」巻末の同訓異義集を見ると、趣、趨、赴の3字であった。 ここで、赴に関連して、もう一字、趣の解字を追加しておきます。

==以下引用====

「趣」の声符は(しゅ)。 〔説文解字〕二上に「(すみ)やかなり」とあり、急疾の意とする。
赴・趣にはともに急疾にことに赴く意がある
ひたすらにその方向に向かうことをいう。すなわち「おもむく」の意である。 

「むかう」については、以上、平凡社の2016年3月の漢字暦には、 郷,対,向,面,赴の5字が挙げられていたが、「角川大字源」巻末の同訓異義集の「むかふ」(むかえる、むかう)を見ると、(が 受けむかえる)、向・郷・※(郷の下に向)、迎、(げき)などであった。白川静『字訓』で「むかふ」の項に挙げられたのは、向、対(對)の2字であった。

 

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