漢字暦

白川静漢字暦 (2023年)


文身

文身

2023年1月の漢字暦(平凡社)

一月の字は、「文身」


「漢字暦を読む」 も、2023年に。1月の「文身」は、原始装飾文様として、いままでも見てきました。⇒マオリの顔面文身

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文、章、爽、顔、彦の字解です。 引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作『新訂字統普及版」や『字通』、円満字二郎さんの『漢字ときあかし辞典』や落合淳思著作などからも追記します。他に「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編)や 「角川大字源」などの辞典、また日本漢字能力検定協会の漢字ペディアなどからも、随時追加します・・ 

更新日  20223年2月8日(水)


篆文

「文 」という文字については、2011年10月にも見ています。⇒
2011f/kanji_koyomi_201110.html#bun
表外訓 あや ⇒文様 文藻(ブンソウ)
表外訓 かざり ⇒文身(いれずみ) 


文字は古くは、ただ 「文(ぶん)」と呼ばれた。
「文」とは、慶弔の時に顔や胸などに加えられる 呪飾(まじないの文様)。 これによって人は聖化され、 死者の霊は永生を獲得する、という。それはいいが、故人となった父母は「文考(ぶんこう)」 「文母」というというのは初見。両方とも広辞苑にはない。


金文


==以下引用==========

入墨の器である辛(針)の針先の部分に、墨だまりのある形。
日の部分が墨だまりの形。これによって入墨を行なう。その文身の文彩あるものを文章といい、その美しさを彣 彰(ぶんしょう)という。

【説文解字】三 上に、章を楽章と本義とする字と解し、「楽のおわるを一章と為す。音に従い、十に従う。十は数の終わりなり」とする。
説文は楽章の解をなすために、字形の解釈を誤ったものである。
方式を記すものを章程、礼服を章服、法の規範を憲章という。
文身の著名であることから、字義が多義化した点において、文と似ている。(「新訂字統普及版」p458)


篆文

==以下引用===========

大と※(り=×4)に従う。大は人の正面形。
(「新訂字統普及版」p563)

彦/彥


金文

厂(かん)は額の側面形(⇒顔の解説参照) 
彦の部首は さんづくり(彡)

※厂・・部首名としては、「がん‐だれ」【×雁垂れ】

以下のサイトでは、厂を「削りとられた崖」の象形としている。
[ 漢字・漢和辞典-OK辞典] ⇒ ⇒「彦/彥」という漢字 
(典拠は 大修館書店-漢語林デジタル大辞泉(小学館) 三省堂 大辞林 wikipediaYAHOO知恵袋とのこと)


篆文

声符は彦(げん)。彦は成人の儀礼として額(ひたい)に文身を加えることを意味する字で、文は(入れ墨)、厂(かん)は額の側面形、彡(さん)は文彩をしめす。頁(けつ)は儀礼のときの礼容であるから、顔とは、額に美しい文身を加えた顔容をいう。文身といっても、朱などで、一時的に加えた絵身(かいしん)である。文身は額に加えるので、その部分を顔と言い、全体を面という。
【説文解字】九 上に 「眉目の間なし」というのは、正面の額の部分をいう意であろう。(「新訂字統普及版」 p142)

以上、平凡社の2023年1月の漢字暦より、「「文身」をテーマに、文、章、爽、顔、彦の字解を学びました。