「称、銓、手+冉、権(權)、衡」の5字の字解です。
(引用は平凡社の漢字暦他) ・・
更新日 2020年 11月13日(金)
追記2023年4月20日(水)
同訓異字の「はかる」というと、6字ある。
【図る】
【測る】
【計る】
【諮る】
【謀る】
【量る】
だが、「はかり」というと?
篆文
爯(シヨウ)は、称錘(しょうすい)(はかりの重り)を
上から下げている形で、穀量を称(はか)ることをいう。
『漢字ときあかし辞典』には、訓読みは「たた・える」と「とな・える」のみ。
漢字pediaでは、いずれも表外訓として、となえる・たたえる・あげる・かなう・はかるの5つ。
『漢字ときあかし辞典』によれば、部首「禾」(穀物)と「爯」(天秤を持ち上げている形)”釣り
合いが取れている”(例:対称)、”誰かを指し示す言葉”(例:敬称、通称)、”肩書や呼び名を付ける”(例:詩人と称する男)・・これは、指すものと指されるものの”つり合いを取る”ところから生じた意味。
また、”ほめる”(例:称賛)・・行動にふさわしい評価を与えるところから生じたか。
秤の重り、分銅(ふんどう)
分銅紋というのに、驚いた。
出典: コトバンク
甲骨文
手+冉
と書いていたが、爯(しょう)
手は爪の形、冉でなく横棒が突き出ている形。
ここに挙げられいる熟語は、「選」に書き換え対象で、
銓衡→選考 銓択→選択
あまり使われない、「
銓次」(官位の次序などを定めること)は別であるか‥
篆文
音符雚(かん)
権ははかりの分銅。
権によって軽重を定めるので、標準→権威、権勢・・
みな「権衡」(からばかり)の意の引伸義であると。
権貴枢要の地位。権力があり、その地位が重要であること。または、その地位にある人。(平凡社「普及版 字通」)
金文
『漢字ときあかし辞典』によれば、平衡、均衡の様に”バランスが取れている”ことを表す。部首の「行」がついている理由ははっきりしない、と。 本来は牛の角に張り渡した横木を意味する漢字で、転じれて”てんびんの横棒”の意となり、”バランス”の意味が生まれたという。
さまざまな勢力が縦横に手を結んだり離れたりすること。『漢字ときあかし辞典』には、
「従」は”縦”のことで、「衡」は”横”のこと。ここにも”横に伸びた棒”の意味が残っている、と。
合従連衡は、中国の戦国時代の外交である合従策および連衡策を併せていうもの。転じて、状況に応じて各勢力が結び、また離れるさまを示す故事成語となった。ウィキペディア
中国の戦国時代における、縦横家蘇秦の唱えた「合従」策と、同じく縦横家である張儀が唱えた「連衡」策。 · 転じて、外交における他国との同盟策。 合従連衡 - ウィクショナリー日本語版
強国化した秦に対するため、燕につかえていた蘇秦は6カ国が連合して対抗する合従策を説いた。しかし、秦の宰相張儀の連衡策(秦が6カ国それぞれと単独で同盟する)によって破られてしまう。諸国は生き残りをかけ、武力だけでなく外交手腕も駆使された時代であった。『山川詳説世界史図録』p.36
馬の鬣(たてがみ)
『漢字の字形』第1章の 扉絵
落合淳思著(中公新書2019)