漢字の基礎知識

日本における漢字(文字のおさらい 3)

漢字伝来

文字の伝来は確認できても、文字の使用を示すものではない 

貨泉

12年しか流通しなかった、新(BC8~AD23) の貨幣
弥生時代後期(1世紀)
岡山市高塚遺跡で25個出土ほか

貨泉出土データ(50地点から99枚)
http://yamatai.cside.com/katudou/kasenn.htm

「中国製の貨幣「貨泉」も年代決定に重要な役割」
弥生ミュージアム(国営吉野ヶ里歴史公園)

貨泉(中国古銭研究)
http://www.geocities.jp/hiranocolt/page025.html

岡山県古代吉備文化財センター br /> http://www.pref.okayama.jp/kyoiku/kodai/child-ibutusyokai.html
※(数字などに少し違いがあります)


金印

福岡志賀島(1784発見)
AD57  「後漢書」東夷伝

漢鏡 仿製鏡

奈良県新山古墳 4世紀

近つ飛鳥博物館「倭人と文字の出会い」

日本人は、文字をもたなかった
そのはじめ、漢字に出会ったとき、それは模様にしか見えなった・・
そういうわけで、
十二支の順序が違ったり、渦巻の中に巻き込まれたりしている図像のある文物が発掘されているようだ
偽銘帯、偽文字・・
2年ほど前に「大阪府立近つ飛鳥博物館」で、「倭人と文字の出会い」という展示があったようです。
カタログ(平成23年度春季特別展 倭人と文字の出会い 大阪府立近つ飛鳥博物館図録54)、金印レプリカなど購入(2013年4月14日)

以下この博物館内を少々紹介後、本題の〔漢字と日本語〕へ

仿製鏡 新山古墳 奈良県広陵町


瓦 河内の古代寺院(7世紀末)




館内風景


ミュージアムショップは楽しい(お土産は以下)

金印

金印の蛇鈕(だちゅう=へびのボタン)は南方諸国に与える印章に用いられたというので、倭国は南にあると考えられた・・
出典不明:カタログには書かれていないようだ・・
閑話休題

漢字と日本語

万葉仮名の出現

稲荷山古墳鉄剣

埼玉県行田市
字音による日本語表記が見られる資料
辛亥年(471年)・・「万葉仮名」使用の最古級の資料(人名。地名)
雄略天皇・・ワカタケル大王

全長73.5センチ

115字の金象嵌の銘文
杖刀人の首、オワケが
祖先7代の名を記し、
ワカタケル大王に
仕えてきたことを記す


近つ飛鳥博物館
「倭人と文字の出会い」p54

紫香楽宮跡出土「歌木簡」

滋賀県甲賀市
8世紀(古今和歌集 仮名序の150年前)、『万葉集』:759年(天平宝字3年)以後、『古今和歌集』 紀貫之 905年
2008年5月 手習いの材料とされていた二つの歌が記されていることを発見
http://www.komazawa-u.ac.jp/~hagi/Ko-NGB-utamokukan.pdf
難波津に咲くや木の花冬こもり今は春べと咲くや木の花(王仁)
安積山影さへ見ゆる山の井の浅き心を我が思はなくに


和訓

漢字を音読みするだけでなく、日本語の体系にとり込んで使う応用段階

岡田山古墳鉄剣

島根県松江市 和訓の早期例
6世紀
残存部 52センチ銀象眼
※近つ飛鳥博物館「倭人と文字の出会い」p67

北大津遺跡 音義木簡

7世紀後半
滋賀県大津市
天智天皇大津宮
漢字にその音や訓を添えた記録
漢和辞典のように漢字の使用に備える必要のあった状況を示す資料
賛 田須久(たすく 意味)
采 取(とる同義字)

※近つ飛鳥博物館「倭人と文字の出会い」p82


『古事記』と『日本書紀』の訓

『古事記』太安万呂序 712(和銅)年
字訓のみ=和語独特の表現が失われる
字音のみ=漢字音訓を仮名のように使うので長たらしくなる

日本語独特の表現をのこす時は漢字を表音的に用い、そうでないときは訓を用いるなど工夫

『日本書紀』 720年
正式な漢文表現を目指す
漢音使用

『万葉集』 八世紀後半
『万葉集』と『古事記』は 呉音を使用
『万葉集』・・多様な表記、戯訓も(文字遊戯)

宣命体から

宣命(天皇の命令文書)文武天皇697~
『続日本記』所収
自立語は大書し、付属語は小書きの万葉仮名
漢字仮名交じり文の機能を明らかに示した表記法

呉音と漢音の違い

唐代、中国語には有声音〔声帯の振動のある音〕が、無声音に変わる現象があった
漢音は漢籍(思想・文学書)の基準音、遣唐使がもたらす
呉音にあったシオンの『ガ・ザ・ダ・バ』の濁音が
唐代の漢音では「カ・サ・ハ・タ」のように清音に変化
鼻音の非鼻音化
男女(呉音:ナンニョ)
人間(呉音:ニンゲン、漢音:ジンカン) 光陰は百代(漢音:ハクタイ)の過客(漢音:カカク)
唐音
 平安中期から江戸後期に伝えられた漢字音
禅宗とかかわりが深い
和尚(オショウ)、行脚(アンギャ)、喫茶(キッサ)など、限定的
慣用音
日本に伝来した後形成された漢字音
長音化・・ 贔屓(ヒキ⇒ヒイキ)、披露(ヒロ⇒ヒロウ)
誤読・・・ 消耗(ショウコウ⇒ショウモウ)、口腔(コウコウ⇒コウクウ)

〔改訂〕常用漢字表の字音
日本では漢字音が重層的に存在している

WEB検索

東京大学総合研究博物館記念特別展示「歴史の文字―― 記載・活字・活版」展(平成八年)図録、「倭人社会の文字」 倉林眞砂斗 編
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1996Moji/04/4100.html

日本語千夜一 話 古代篇 by小林昭美さん
日本の漢字音・呉音と漢音:http://www3.ocn.ne.jp/~ocra/135.html


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