漢字暦

白川静漢字暦 (2022年)


五月の字は、「生子」

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「生子」という意味を持つ漢字の字解を学びます。産、妊、娠、身、育の字解です。 (引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他)  

更新日  2022年5月15日(日)



金文

 

==以下引用===========
象形。腹部が大きく記され、妊娠している人の促進系であることは明らかである。  


『常用字解』から、
身は、みごもるの意味から、のち、からだ、みずからの意味に用いる。

 

『漢字ときあかし辞典』では、「身」については、
”生れ出る新たな肉体”とある。みごもるから転じて、”肉体”をあらわす。
「刺身」「脂身」「卵の黄身」のように、”食糧としての動物の肉体”を表わすのは、日本語独自の方法、日本でだけ、”食べる”という意識があるのは興味深いとある。

部首としては、日常語で使うものでは、”体”を表わす「躯」があるくらい。他では「躾(しつけ)」「躻 (うつけ)」 といった日本で作られた漢字が含まれるのが目立つ


金文


==以下引用==========
音符は壬(ジン)。壬は工具(たたき台)の形。
工の形であるが、中央が広く膨らんでいるので、壬の字形となる。

 

【説文解字】 十二下に「孕むなり」とある。
はらむという意味の象形の字は、大きな腹をした人を横からみた形である身と、立っている人の大きな腹の中に胎児をかき入れている孕(よう)である。

 

出典『漢字ときあかし辞典』 (研究社2012)

 



金文

==以下引用===========
音符は辰(シン)。辰は蜃(はまぐり)のもとの字で、はまぐりなどの貝が足を動かして形で動くの意味がある。
手でゆり動かすことを振といい、「ふる、ふるう」の意味となる。物をゆり動かすの意味から、心をゆり動かかして勇みたたせる、はげますの意味にも用いる。
また、賑(すくう)と通用して「すくう」の意味にも用いる。
国語では身なりのこと、また舞曲の動きを「振り」という。

辰(たつ)
移り変わる夜空。
十二支の五番目、また十二支全体をいう、そこから”日時”をもさす。「佳辰」(おめでたい日)
昔の時刻の表わし方では「辰の刻」は午前8時前後の時間帯。
日時とともに移り変わることから”星”のこともあらわす。「北辰」(北極星)


漢和辞典では部首の一つだが、
「辱」「農」くらい
「立(たつ)」「竜(たつ)」と区別するため、部首としては、「しんのたつ」とよばれることもある。


出典『漢字ときあかし辞典』 (研究社2012)



金文

==以下引用===========
祝祷する人、女には巫(ふ)、男には祝(しゅく)という。

 

基本的な意味は”動物が新しい生命を誕生させる”こと。(「出産」「産卵」)
しか、人間が生きて行く中で何かを作り出す”という意味で使われることも多い。 (「生産」「国産」「産物」)
また”ある人や会社などが活動を続ける中で手に入れたものや、活動を続けるもとになるもの”を表す場合もある。(「財産」「資産」「破産」)

 

訓読みでは「生」との使い分けが問題となる。
現在では、子どもをうむ。子どもが生うまれることをはっきりさせたいときに使うのが習慣。

 

訓読み「うぶ」はうむの変化したもので、”誕生したばかり”という意味。(「産着(うぶぎ)」「産声(うふごえ)」)

 

「いい年してうぶなんだから」の「うぶ」は経験に乏しいという別の言葉で、かな書きするのがふつう。

このくだりは、笑ったが、『新明解第六版』によれば、初(初心)。
生まれた時のままの意の「産」と同原、とある。

初: 新たな気持ちでハサミを入れる。
初め:スタートしたばかりにポイント。
始め:これからも継続していくことに重点。
はじめ

出典『漢字ときあかし辞典』 (研究社2012)



篆文

==以下引用===========
会意

𠫓(とつ):生まれた子どもの逆さまの形;子供が生まれ落ちる姿。

その下に月(にくづき)を加えて、人の体であることを示す。とを組み合わせた形。

もとの字は (いく)、毎は母親の姿。その母親の後ろに生まれ落ちる子どもの形である𠫓の頭に髪の毛のある㐬(とつ)を加えた形。



『漢字ときあかし辞典』では、
生まれ落ちたその瞬間から
本来は肉体的に”成長する/させる”事を表わすが、精神的な面についても用いられる。活躍の多い漢字。

以上、平凡社の2022年5月の漢字暦より。

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