漢字暦

白川静漢字暦 (2022年)


兄弟(けいてい)

四月の字は、「兄弟」

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「兄弟」という意味を持つ漢字の字解を学びます。兄、弟、競、祝、※(とう)の字解です。 (引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) 

更新日  2022年4月8日(金)



甲骨文

 

==以下引用===========
職能を示すとき、目、耳などの器官を人の上に出して示す。


 


目を人あしの上に出した「見」はいいが、
もんがまえ中の耳?
「望」に至ってはさらに意味が?
これについて『常用字解』から、甲骨文字の字形解説を補足します。


てい:つまさきで立つ人を横から見た形


臣:上を見ている目の形

『漢字ときあかし辞典』では、「見」については、
”「人」が変形した「ひとあし」の上に「目」を乗せて、目を強調した漢字。”とあるが、「兄」については
「口」がついている理由には諸説があるといい、字解は全くなく、音についての話であった。
「兄弟(きょうだい))」が良く使われるが、キョウとよむのは実は珍しい例だという。奈良時代以前からある読み方で、音読みとして一般的なのは、ケイで、
父兄(ふけい)、長兄(ちょうけい)、義兄(ぎけい)

「え」とよむのは”あに”を意味する古語
中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)

芸道などで先輩を意味する「兄弟子(あにでし)、兄貴分(あにきぶん)」
男子の友人を敬意を込めて話すとき「貴兄(きけい)、大兄(たいけい)」


金文


==以下引用==========
なめし皮の紐で物をくくる形。
兄弟の意味に用いるのは仮借の用法 

古代文字では”棒にひもなどをらせん状に巻きつけたようす”を表わす絵という。
順序良く巻き付けるところから”上下の順序”を表わすのが本来の意味。この意味は「第」に受け継がれている。

 

「で」とよむのは、弟子(でし)くらい。

出典『漢字ときあかし辞典』 (研究社2012)

 



金文

==以下引用===========
二人並んで祝祷することを競という。

部首「立」は、形の上から便宜的に分類されたもの・
古代文字では、本来”争う二人の人間の姿”の絵だと考えられることから、部首を「ひとあし:とする辞書もある。

出典『漢字ときあかし辞典』 (研究社2012)



金文

==以下引用===========
祝祷する人、女には巫(ふ)、男には祝(しゅく)という。

 

本来は”神や仏に祈る”ことを意味する漢字・
実は「呪」もほぼ同じ意味で、
後に”幸福を祈る”場合は「祝」、 ”不幸を祈る”場合は「呪」と使い分けられるようになった。。

シュクと読むのが大原則

シュウとよむのは、「祝言」(しゅうげん)「お祝儀」などでしか用いられない特殊な読み。

出典『漢字ときあかし辞典』 (研究社2012)

(とう)



篆文

==以下引用===========

弟を失い、弟になみだする兄。
(なみだ)

大変難しい字である。
なみだという意味の字にさんずいに弟で、
というのがあるが、・・・


『漢字ときあかし辞典』では、なみだという字は、涙が一般だが、字の形からイメージしやすいためか、「」が使われることもあると。

以上、平凡社の2022年4月の漢字暦より。

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