白川静漢字暦 (2019年)


うつくしい

五月の字は、「うつくしい」

me
美、那、娥、好、彣の字解です。 (引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) ・・ 

更新日  2019年5月3日(金)


令和元年に


「令」という字について、
「令夫人」「令嬢」と用いるように、この字に、「美しい」という意味がある、という説明を某テキストでみたのだが、なぜ女性への敬称ばかり取り挙げて、このように説明するのか、違和感があった。
たしかに「令顔」は「美しい顔≒美人」という意味で、「令」を音符にした、「羚」という字にも、「美しいかもしか」という意味があるようだ。しかし、上記の「令夫人」「令嬢」には、「令息」「令弟」「令婿」などなどたくさんの敬称の群の中にあるもので、もっと上位概念があるはずだから、用例不適切では、と思うのであった。・・
上位概念というか包括概念というか・・ 「良い、立派、優れている」

「令吏」:小役人 、下級役人

「令」は象形文字
深い儀礼用の帽子を被り、跪いて神託を受ける人の形。

神の神託として与えられるものを令といい、天子など上位の人の「みことのり、いいつけ、いいつける」の意味となる。
甲骨文字・金文では令をいのちの意味に用いており、令が命のもとの字である。
令は神のお告げを受け、神意に従うことから、「よい、りっぱ」の意味となり、また使役の「シム」の意味にも用いていのちと分けて使うようになった。


上部は神官の帽子
下部はひざまずく人の形


甲骨文

==以下引用===========
「美」は羊の全形。
下部の大は
羊が子を生むときのさまを羍(たつ)というときの大と同

じく
羊の後脚を含む下体の形。
美とは犠牲としての羊牲をほめる語である。
善は羊神判における勝利者を善しとする意。
義は犠牲としての羊の完美なるものをいう。

 

 

 篆文


==以下引用==========   
「那」の旧字は ●に作り、
もと冄(ぜん)に

従って冄声。その転音と考えられ る。
【説文解字】 六下に陜西の地名とする。
【爾雅、釈詁】に「多きなり」とするが、
それは多との通用義であるらしく、
字は阿那(あだ)と連用して、花が美しく、
枝がしなやかであることをいう。
阿儺・猗儺(あだ)などにも作り、
形況の連語である。
那の初形が従う冄は(ほおひげ)の形象字で、
多くて、しなやかの意がある。


形況の連語・・


甲骨文

==以下引用===========
「娥」の声符は我。
【説文解字】 十二下に「帝堯の女、舜の妻娥皇の字(あざな)なり」とし、
また「秦・晉にて、好きものを謂ひて、
「■(女+巠) 娥と曰ふ」とあり、
【広雅、釈訓】 に「娥娥は容なり」と 形況の語とする。
甲骨文に〇(我の下に女)の字が見え、神名。
のち月神を常娥という。

 


金文

==以下引用===========
「好」は女+子。
【説文解字】 十二下に「美なり」、
【方言、二】に「關(せき)よりして 西、
秦・晉の閒、凡そ美色なるもの、或いは之れを好と謂ふ」
とみえる。金文に「好賓」「好朋友」の語があり、
また【羋伯■ (皀+殳) 】(ひはくき)に「用て朋友と百諸婚媾に好せん」とあって、
親好の意に用いる。のち美好・好悪の意となる。


篆文

==以下引用===========
「彣(ぶん) 」は文+彡。
文は文身。
彡はその文彩あることを示す。
彦は元服のとき額に文身を加える意で、
同じく彡に従う。文章はもと彣彰に作り、
文身の美をいう語であった。

以上、平凡社の2019年5月の漢字暦より。

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