宝(寶)、賄、珍、財、貨の字解です。
(引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) 今年も、まず、甲骨文字・金文の字形を見ておき、他に「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編)や 「角川大字源」などの辞典、また日本漢字能力検定協会の漢字ペディアなどからも、随時追加します・・
更新日 2019年1月8日(火)
金文
==以下引用===========
「宝」の旧字は寶に作り、声符は缶(ふ)。
宀(べん)は廟所。廟所に玉や貝を供薦する。
【説文解字】 七下に「珍なり」と訓する。
彜器の銘文に寶「■(阝+奠)彜(ほうそんい)を作る」というように、
祭器をいう。のち財宝。
また尊称としての宝位・宝祚(ほうそ)のように用いる。
「寶」の左右に「進」と「招」を足した吉祥文字、
全体として宝船に宝物を積んだ形
珎
日本最古の流通貨幣は「和同開珎」(708年)。「開珎」の文字をカイチンと読むか、カイホウと読むかで長く“論争”が続いている。チン説は「珎」が「珍」の異体字だからというのが根拠。ホウ説は異体字「寳」から「宀」と「貝」を除いた簡略字だから「宝」なのだ、という。
篆文
==以下引用==========
「賄(わい)」
は 【説文】 六下 に「材なり」とあり、」
【詩、衛風、氓】「爾(なんじ)の車を以て来(きた)れ、
我が賄を以て遷らん」の〔伝〕に「財なり」という。
人に贈ることを本義とし、【左伝、文十二年】
「厚く之れに贈る」のように用いる。【左伝、襄二十八年】
「事を先にして賄を後にするは、禮なり」とあって、謝礼とし謝礼として贈るのは良いが、【左伝、昭六年】
「亂獄滋ゝ(ますます)豊(おほ)く、賄賂竝びに行はる
篆文
==以下引用===========
「珍」の甲骨文に貝を包み込む形の字があり、
もと象形の字であった。
箱に収めた形のものを貯という。
【説文】 一上に「寶なり」とあり、珍奇のものをいう。
のち珍異・珍怪のものをもいい
【書、旅獒】に「珍珍奇獣」の語がある。
玉器は魂振りの器として用いられ、
そのような器を珍玩という。
篆文
==以下引用===========
「財」の声符は、才(さい)。
才に材質の意があり、貝貨を財という。
古くは買いを宝とし、貨幣とした。
【説文解字】六下に「人の寶とすする所なり」
とは財宝の意。
篆文
==以下引用===========
「貨」の声符は化(か)。
【説文解字】 六下に「財なり」とあり、
財貨をいう。もと貨幣の意。
20190129
以上、平凡社の2019年1月の漢字暦より。