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太古からの記号・イメージの知

美の聖堂にて
太古からの記号(サイン)・図像(イメージ)の知をご一緒するサイト。世界で唯一生き残る古代文字の象形漢字も学びます。

こちらのサイトでは 主サイトの唐草図鑑に収まらない、太古からの図像・記号を「搦め手から」研究しています。
2021年2月、新学期準備で、今までの更新ニュース頁をワードプレス投稿にしたいなどと思い、このワードプレスをプラスします。

ヨーロッパの旅


2015年~は象形文字がメイン+ 色・絵画についての復習追加でした。
2020年10月~ :コロナ禍で閉じ込められ、(クルミの殻(?)の中に閉じ込められた???)

海外への旅に出られないので、この3年の一人旅の再整理(画像追加)をします。(特設サイト)

* 2017年(5/24~6/16)伊太利亜羅馬浪漫
**2018年(6/15~6/28)仏蘭西パリ周辺
***2019年(5/31~6/25)仏蘭西ロマネスク

クルミの殻―『ハムレット』2幕2場

ハムレットのセリフ
俺はクルミの殻に閉じ込められても、  
無限の宇宙を支配する王者だと思っておれる。
ただ  悪い夢さえ見なければ。

Ham. O God, I could be bounded in a nutshell, and
 count my selfe a King of infinite space; were it not that
 I haue bad dreames.

クルミ(の殻)の象徴検索

『イメージシンボル辞典』(アト・ド・フリース)には、項目なし。
『世界シンボル事典』(ハンス・ビーダーマン)p147

プリニウスの『博物誌』によると、クルミの木の木陰は「重苦しく」人間や植物に有害とされる。
一方、その実は大切な中身を硬い殻で包んでいる事からシンボルとして重要な役割を果たし、多くの民話や伝説の中で、秘密の宝の隠し場所となっている。
ユダヤ教の伝統的な聖書解釈を記した文献の1つである「ミドラシュ・ハーネエラム」では、聖書がクルミに喩えられており、聖書に記されている歴史的事実はいわばクルミの殻で、その中に象徴と秘儀が隠されているのだという。
また、聖アウグスティヌス(354-430)によれば、クルミは3つの部分からなり、
実を覆う革のような外果皮は肉体(悲しみを負ったキリストの肉体)を、
殻(内果皮)は骨(十字架の木)を、
仁(食用になる部分)は魂(栄養を授け、そこから採れる油が光ともたらす、「神の啓示」)を表わしている。
ドイツ語で「硬いクルミ]は難題の意
「中身のないクルミ」は無能な人間の意
クルミが性的な意味(秘め事や多産)を暗示するのは、
”婚礼にクルミを贈る慣習や、新婚夫婦にクルミを投げつける習慣(2世紀ごろのローマの文法家、セクストゥス・ポンペイウス・フェストゥスが記録している。今日では米粒を投げつけることが多い)に由来する。

殻というより実の話であったか‥

『世界樹木神話』(ジャック・ブロス)第6章「カリュアとクルミの樹」p293


ラコニアで、ディオニュソスはディオン王の客人となった。そして王の娘のうちの最も若いカリュラに恋をした。しかし、嫉妬にかられた二人の姉が父の王に告げ口をしたために、ディオニュソスは狂ったように二人を打ち据え、岩に変えてしまった。カリュアもおそらく悲しみからたちまち息絶えてしまった。ディオニュソスは彼女をクルミの樹に変身させたのだった。アルテミス自身によってこの報せがラコニア人たちにもたらされた。彼らはすぐにアルテミス・カリュアティスのために神殿を建立した。その神殿の柱は、女性像の形にクルミ材で彫刻されて落ち、女像柱(カリアテッド)とよばれるようになった。(p294)
(簒奪の、新しい崇拝による古い崇拝の交代の反映)

実際のところペラスゴイ人すなわち先ギリシア人により崇拝されていた神の存在が知られている。
カールKarあるいはケールKerと名付けられ、小アジアにカリアCarieの名称を残している。 
同じ語根から「頭」と同時に「樹木の梢」を意味するギリシア語のkaraが由来し、これはラテン語に「脳」を意味するセレベルルムcerebellumの語をもたらした。

あらゆる伝承において、クルミの実の食用にできる部分は、まさにその渦巻とともに脳の半球を連想させるものである。(p294)

クルミの樹は古代の作家たちによりペルセポネという次に死の女神の役割を引き受けた女神に、そしてより一般的には全ての冥界の女神たちに捧げられたものとして描き出される。
クルミの樹の不吉な側面はあらゆる民話の中に生きのびている。
古典期には数人ほどであったケレスKeresたちは、そののち、不幸と壮烈な死の冷酷無慈悲な神として続々と姿を現してくる。(p296)
https://www.karakusamon.com/ki_jacques_brosse.html

こちらもクルミの殻でなく、木の話だった・・閑話休題。

自分の殻を打ち破れ・・