「衣、保、衰、安、裏」の字解です。
(引用は平凡社の漢字暦、また、白川静著作他) ・・
更新日 2021年6月19日(土)、7月3日(日)
甲骨文
==以下引用==========
上衣を示す
下方は裳(もすそ)といい、袴(はかま)という。
金文
==以下引用===========
子どもを背負い、その子の裾に新しい霊を受けるための衣を添える形。衣は斜線のノで示される。
子の頭の上に玉〔ぎょく〕を置く。玉も霊を招くためのもの。
篆文
==以下引用==========
衣の襟もとに、麻の喪章をつけた形。
甲骨文
==以下引用===========
斜線は霊を寄り付かせる霊衣(たまぎぬ)。
水滴は清めの酒。
その家の廟にお参りして、酒気で身を清め、新しい衣を添えて、その家の祖霊を新たに身に着け、その家に落ち着く。
新しく嫁入りした女が、その家の霊に仕えるための加入の儀式。
【説文解字】は「静かなり」と訓しているが、ただ安静にすることをいう字ではなく、祖霊に安寧を求める儀式をいう。
この字のノであるが、生理の襁褓だという解釈があったようで、う~んであった。
【角川 大字源】(p473)平成3(1991)年11月刊(Amazon)
会意形声。
意符の女(おんな)とノ(むつき)と、意符と音符を兼ねる宀(ベン→アン(家の中でくつろぎ楽しむ意)とから成る。
婦人が生理のときに、襁褓をつけて、家の中に隠れて静かにくつろいでいる意。ひいて、家の中に静かにいる、「やすんじる」意に用いる。
甲骨文
==以下引用===========
死者の衣の襟もとに、なみだ(目から涙の落ちる形)を流している形で、死者を懐かしみおもう意。
懷(懐)のもとの字である。
この箇所にある「なみだ」という訓の漢字であるが、
【なみだ】と読む漢字一覧表(mojinavi.com)では
泗、 泪、 洟、 涕、
涙( 淚 )のみで、見当たらなかった。
以上、平凡社の2021年6月の漢字暦 より。