ゴッホの麦

ゴッホの切手

Vincent van Gogh(1853 - 1890)


1


Wheatfield with crows
Vincent van Gogh
1890, France,
Oil on canvas
54 x 65 cm
Vincent van Gogh Museum, Amsterdam所蔵



Van Gogh’s Last Painting?
ヴァン・ゴッホの最後の絵画?
Wheatfield with Crows is one of Van Gogh’s most famous paintings and
probably the one most subject to speculation.
カラスのいる麦畑は、ヴァン・ゴッホの最も有名な絵画、および
恐らく推測のもっとも課題な1つです。
It was executed in July 1890, in the last weeks of Van Gogh’s life.
ヴァン・ゴッホの人生の最後の週、1890年7月に描かれました
Many have claimed it was his last work, seeing the dramatic, cloudy sky filled with crows
and the cut-off path as obvious portents of his coming end.
多くの人が、カラスでいっぱいの劇的な曇り空と途切れた道が、
彼の次の終わりの明白な前兆と見て、それが彼の最後の仕事だったと主張しました
。However, since no letters are known from the period immediately preceding his death,
we can only guess what his final work might really have been.

しかしながら、その彼の死に直接に先立つ期間からあとの手紙が知られていないので、
私たちは彼の最後の仕事は実際に何だったのか推測することしかできない。
Some scholars believe it was the Tree-roots,
but we have no proof that this was the case.
何人かの学者は、それが木の根だったと信じます。
しかし、私たちは、これがそうだったという証明を持っていません。



絵はゴッホの黄色と青だ。
この麦畑の中の道については
ゴッホの前の版画家たちの作品があり、
「麦刈りと人の死との対応関係など、
聖書との関連が明白なせいか、
牧師たちに好まれ、
ゴッホの父の書斎にも飾られていた。」
〔ゴッホ展図録の解説〕ということを
今回はじめて知ったわけだが、

ひとつ、
烏(カラス)の不吉な象徴は日本的なものだろうか?


世界シンボル事典では、
シンボルとしてはオオガラスとあまり区別されない、ということで
「オオガラス」の項を参照すると…、

オオガラスは「病気や戦争や死を告げ、
処刑されたものの肉をむさぼる
『不吉な』鳥とみなされた。

ウクライナ伝説に
エデンの園ではカラスの羽は色とりどりであった。
かっての美しさを取り戻すのは、
この世が終わったあとの新しい楽園において。


・バビロニアの暦
不幸をもたらす13番目の閏月を支配する
・古代ギリシア&ローマ〔プリニウス〕
自分の告げる前兆をただ一人理解する
・初期キリスト教
ノアの箱舟に戻らず
洪水の終わったことを知らせなかったため非難される
・鳴き声;クラース、クラース=明日だ、明日だ
世俗の欲望にとらわれて回心を先に延ばすもの
・北欧神話
2羽のオオガラス、フギン(思考)とムニン(記憶)が
神オーディンの従者を勤め、この世のすべての出来事を報告する
・錬金術では
賢者の意思へと編成する途中にある第一マテリアル
〔過程の進行に伴って白化する〕
・ユング心理学
精神の闇の領域に関わる重要な意味をもつ

カラス〔小型〕= ・ギリシア神話
太陽神アポロンが元来羽の白かった
烏の羽を見張り役の怠慢の罰として黒く変えた話がある

・予言能力を持つ鳥とみなされ、
クロノス神やケルトの神プランのアトリビュート。

まがつことの予兆、という不吉のシンボルというのはほぼ同様でよいようだ。

Symbolic Wheatfields
小麦畑の象徴

In Auvers, Van Gogh painted a large number of landscapes with wheatfields,
all on unusual, elongated canvases (50 x 100 cm).

Auversでは、ヴァン・ゴッホは、異常な延長されたキャンバス(50×100cm)上で、
多くの小麦畑の風景画を描きました。

He wrote to Theo about two of these works:

彼はこれらの作品のうちの2に関してテオに手紙を書きました:
“They depict vast, distended wheatfields under angry skies, and
I deliberately tried to express sadness and extreme loneliness in them.”

「それらは、怒った空の下の広大な膨らまされた小麦畑を描きます。また、私は、
慎重にそれらの中の悲嘆および極端な孤独を示そうとしました。」
But these pictures also had a positive side:
しかし、これらの絵にはさらに肯定的な側面がありました:
“I am almost certain that these canvases illustrate what I cannot express in words,
that is, how healthy and reassuring I find the countryside.”
「私は、これらのキャンバスが、
私が言葉で何を表現することができないか例証するとほとんど確信します、
すなわち、私が田舎に見出した、健康さ、そして心強さ。
Was this also true of the Wheatfield with Crows? Unfortunately,
this will probably always remain a mystery.
これは烏のいる麦畑に該当するか、 不運にも、これは恐らく常にミステリーのままだろう。

Biblical Metaphor
聖書の隠喩


Van Gogh himself later wrote about the meaning of this painting,
referring to the well-known biblical metaphor:
ヴァン・ゴッホは彼自身、有名な聖書の隠喩を参照して、この絵画の意味についてその後書きました:
“In this reaper - a vague figure laboring like the devil
in the terrible heat to finish his task - I saw an image of death,

「この収穫者(恐ろしい熱の中の悪魔のように彼の任務 を終了するように努力する曖昧な図)で、
in the sense that the wheat being reaped represented mankind.

収穫されている小麦が人類を表わしたという意味で、私は死のイメージを見ました。
[...] But there is nothing sad in this death,
[...]しかし、この死において悲しいものは何もありません。
it takes place in broad daylight,
under a sun that bathes everything in a fine, golden light.”
それは、素晴らしく金色の光にすべてを浸す太陽の下で、真昼間に起こります。」

いったい僕はどんなことをいつも考えているのか知っているか?
もしたとえ僕が成功しなくても、僕のやりかけていた仕事が続けられるという信念だ。
直接でなくとも、真実の事がらについて考えるのは決して自分一人ではないはずだ。
個人の場合は問題じゃない!僕は人の生涯は麦の生涯のような気がして仕方がない。
もし芽を出すために地に蒔かれなかったら、どうなるだろう、

粉にされてパンになってしまう。
幸運と不運の違いだ!双方とも必要だし、有用でもあり死とか消滅も同じように・・・
関連があるし・・・人生も無論だ。
たとえ狂った心配な病気に罹ってもこの信念は決してぐらつかない。

「ゴッホの手紙」607(硲 伊之助訳)

2


麦畑の中の葬送
ヤコブス ・ヤン・ファン・デル・マーチン Jacobus Jan van derMaaten
1863,
Lithograph
22×34 cm
アムステルダム大学図書館, Amsterdam 所蔵

今回はじめてこの版画の見て、麦畑の中の道の意味を知った。
「ゴッホは、画家になる前に版画や複製に引用文などを書き込んだものを
大量に作って所蔵していた。」(図録より)

この版画の右の余白には
ヘンリー・ロングフェローの詩「二月の午後」の引用


絵の左の余白には
オランダ改革派教会の讃美歌集からとられたと思われる詩

絵の下の余白には
福音書からの引用が4つ

・ヨハネ第12章24、25節
はっきり言っておく。
一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。
だが、死ねば、多くの実を結ぶ。


・マルコ4章24ー29節
「何を聞いているかに注意しなさい。
あなたがたは自分の量る秤で量り与えられ、更にたくさん与えられる。

・ヨハネ第5章24,25、28,29節
・ルカ第9章24節

WEB 検索
引用の語句は
インターネットで検索できます。
http://www.bible.or.jp/jnet/choice.html


ゴッホ展の図録に紹介のある
エミール・アデラール・ブルトンの カラスのいる風景

3


麦の穂並みEars of Wheat
Vincent van Gogh
1890, France,
Oil on canvas
64 x 48cm
Vincent van Gogh Museum, Amsterdam所蔵
この作品が来ています2005/07/11


図録の解説によれば、
ゴッホは、アルル時代の終わりから、
野辺や庭園の草花や虫をクローズアップで捉えた
習作をいくつか書いている。
それ自体で完結させるのではなく、
肖像画の背景に利用しようと考えた。
It was to the painter Paul Gauguin that Van Gogh described this study as
ヴァン・ゴッホがこの習作研究について書いた相手は画家ポール・ゴーギャンでした
‘nothing more than ears of wheat, green-blue stalks long, ribbon-like leaves,
under a sheen of green & pink;
「青緑の茎をした小麦の穂ばかりを描いたもの、
リボンのような長い葉は緑とピンクに彩られ、
ear ━━ n. (ムギなどの)穂, stalk1 [st:k] ━━ n. 茎,


ears of wheat, yellowing slightly, with an edge made pale pink by the dusty manner of flowering;
黄色くなり始めたな小麦の穂先は、粉っぽい花の淡いピンク色で かすかに縁取られている。

at the bottom, a pink bindweed winding round a stalk.

一番下にある1本の茎には、ピンクのヒルガオが巻きついている。
I would like to paint portraits against a background that is so lively and yet so still.’

この習作をもとに、とてお生き生きとしているが、
静かな背景を持った肖像画を 描いてみたい。

And indeed, he was later to use the motif as the background to a portrait.
また、確かに、彼は、後に肖像への背景としてモチーフを使用しました。

’The effect of the colors alone was to be evocative
‘of the soft rustle of the ears of grain swaying back and forth in the wind.’

さまざまに性質の違う緑があるが、
それらはみな同じ明度を持っているので、緑の調子よる ひとつの全体が出来上がる。
緑の振動は、風にそよぐ麦の穂のかすかなざわめきを連想させるだろう。
その色合いは決して容易にできるものではないが。
〔書簡643〕


http://www.abcgallery.com/V/vangogh/vangogh115.html
Vincent van Gogh. Girl in White. 1890. Oil on canvas.
The National Gallery of Art, Washington, DC, USA.


種まく人Sower with Setting Sun (After Millet).
Vincent van Gogh
June 1888. Oil on canvas. 54 x 65 cm
Rijksmuseum Kroller-Muller, Otterlo, Netherlands所蔵
他の種まく人
http://www.abcgallery.com/V/vangogh/vangogh35.htmlOlga's Gallery
Vincent van Gogh. Sower with Setting Sun (After Millet). November 1888.
Burlap on canvas.
Foundation E.G. Buhrle collection, Zurich, Switzerland.
http://www.abcgallery.com/V/vangogh/vangogh36.html
Sower with Setting Sun (After Millet).
November 1888. Burlap on canvas. Foundation E.G. Buhrle collection, Zurich, Switzerland.
http://www.1st-art-gallery.com/artists/vincent_van_gogh/index_van_gogh.html

※(渋谷文化村ミュージアムに70点がきた頃)

クレラー=ミュラー美術館所蔵 ゴッホ展
主催日本テレビ放送網/Bunkamura
1999年11/19〜 2000/1/23
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lib/lib98_00.html


その後、2003年にオルセー美術館所蔵のミレーの3大名画
《晩鐘》《落穂拾い》《羊飼いの少女》が きた時
ミレー3大名画展 〜ヨーロッパ自然主義の画家たち〜」
http://www.bunkamura.co.jp/museum/event/millet/sakuhin2.html

種まく人(The Sower)
重荷を背負う人々(The Beareas of the Burden)
黄色い皿の上のじゃがいも(Still life with the potatos in yellow dish)
月の昇る夕べの風景(Evening landscape with rising moon)
 な どのミレーの作品と
ゴッホの作品も
「麦わらを束ねる農婦」(1889 ファン・ゴッホ美術館)
機織りの農夫(右向き)(1883-84)
じゃがいもを掘る農婦 (1885)
ミレーが影響を与えた画家の絵として出品された

ギュスターブ・クールベ「仔山羊を抱く村の娘」(1859 クールベ美術館)
ジュール・ブルトン「落穂拾い召集」(1859 オルセー)
レオン・フレデリック「農民の子」(1888 アントワープ国立美術館)
パブロ・ピカソ「年老いた漁師」(1895 モンセラット美術館)
ジュール・パスティアン・ルパージュ「眠りこけた小さな行商人」(1882 トゥルネー)
フィンセント・ファン・ゴッホ「麦わらを束ねる農婦」(1889 ファン・ゴッホ美術館) など
ミレーが影響を与えた多くの画家の絵も出品された


http://21st.c-art-city.com/magazine/r_bunka/41.html


WEB 検索
ゴッホ展 孤高の画家の原風景 * http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/art_review/14/index6.html

近代絵画
小林秀雄の近代絵画論 (ゴッホ)byM

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