天(あめ)


天…訓(あめ)と雨


  天という漢字は、「人が両手を広げて空を仰ぐ姿から来ている」 という。雨水利用研修会での、漢字「天」についての話です。
 人は空を見上げて雨乞いをしている、  いえ、そこまでは言ってはいませんが、なるほど  空を見上げるのはやはり天候への祈りがあるのかとまず思いました。 今日のお天気はどうかな、という日常的な一日の始まりに空模様を見る、そういうこと以上に、小 さな人間の小さな意志でどうにもならぬ大いなる天(=自然)の健在や天変地異を思います。
この研修での話は 「雨水は天水」という、グローバルな地球環境問題への啓発、人を動かす力のあるメッセージの枕としての「天」という字解でした。  ここで、もう少し辞書に則して、ゆっくりみていきましょうか。
 まず、白川静の「常用字解」では、この字を「手足を広げた人を正面から見た形の(*1)の上に 大きな頭をつけた形である」という。
 ついで、「角川大字源」では、「人の形を正面から見て」(これは同じ) 「特にその頭部をはっきりさせたさまにかたどる」(ここも同様) それに付け加えて、「転じて頭上に広がる空、また自然の意に用いる」という。
 この象形文字が、特に手が上へ挙げられているとか、そこまでは書いてありません。 両手を広げる形というのは、「オランス」(*2)…キリスト教の像でも独得の意味を与えられたポーズですね。 やはり、両手を広げる図とは、 普遍的な祈りのポーズをあらわす形であるような気がします。
 「常用字解」に戻ると、人の体の一番上にある頭を意味する「天」を借りて「そら」を天というようになった、ということです。 漢字の成立を、「その時代の社会的儀礼の実際に即して生まれた」もの、とする白川さんの字書なので、 雨乞い儀礼から生まれた字とされているかと思いましたが、そのような記述はありませんでした。
次に訓の「あめ」、から、「雨」をみてみます。
この象形文字は、「天からあめの降る形」(「常用字解」) 天から垂れ下がる雲から水滴の降るさまにかたどる(「角川大字源」)

天と雨の象形


※1 大の字を要素とする字
… 手足を広げて立つ人を正面から見た形。
…大の上に大きな頭を加えた形。
…大の頭上の髷に簪を通している形で、結婚式のときの正装した新 夫の晴れ姿。
…大と一を組み合わせた形で、一定の場所にたつこと。
竝…立つを左右に並べた形、ならぶ(並の旧字
亦…大の両脇に千を加えた形、腋のもとの字

※2 オランス
http://www4.point.ne.jp/~dominion/orans.html
「オランス」 とは、古代ギリシャ・ローマで祈りを捧げるポーズ

ここで、「あめ」について、更に、雨水とは天の水…という雨水研究会の話。 たしかに、「大言海」に、「天水(アマミズ)、あまみ、あめと約転した」とあります。
さらに、海のくだりを見よということでそちらを見ると、 海は大水(オホミ)の約転。う(大)の條を見よという。
そういえば、大を「う」と読むのでしたね。
(接頭語)う…おほ(おお)の約(つづま)れる語。 おほ(おお)大…多しの語根…尊いという意味も挙げられていた。

おおけ→うけ(食)
おおみ→うみ(海)
おおし→うし(大人)
おおば→うば(祖母)
おおま→うま(馬)

ここでようやく国語辞書、広辞苑を参照すると、絶え間なく降り注ぐもののたとえ、というくだりあり。 例は、なみだの雨、げんこつの雨であった(^_^;;
絶え間ないとはこれはいかにも日本語である。 データによれば、現在、日本の降雨量はインドに次いで世界二位で、世界平均の年間降水量900ミリの二倍である。
世界で一番降水量の少ない国はペルーで年3ミリ…そういえば、テレビで、山上にぐるりとネット網を張って霧から水を得ていました。 さて日本においては無料(ただ)の代名詞だった水であるが、 ペルーでは水は「湯水の如く」浪費できるものではないだろう。よってこのような言葉もないであろう。
しかし、日本でも、水質汚染が課題となって、おいしい水、ミネラルウォーターを買って飲むことが定着したかのようだ。

雨水ギネスによれば、 世界一降水量が多かったのは、インドのメガラヤ25,481のミリ(1860年)、
逆に世界一少なかったのは、エジプトのアスワンの0.5ミリ(1950〜1978年の平均)
そんなにもちがうのは驚きであった。

天の対語は「地」である。
「常用字解」によれば、 地のもとの字は「墜」で、天に居る神がのぼり降りするときに使う神の梯(はしご)を使っており立つところの意味である。 神の梯子の前には祭りの肉を積み上げてあり、これが崩れ落ちるのでおつという意味になり、別に「地」という字ができたのだという。 天の対語は「地」である。天地と書いて「あめつち」と読む。詩的な響きがある。 「常用字解」にれば、地のもとの字は隊と土を組み合わせた形、「墜」で、 天に居る神がのぼり降りするときに使う神の梯(はしご)を使っており立つところの意味である。 神の梯子の前には祭りの肉を積み上げてあり、これが崩れ落ちるのでおつという意味になり、 代わりに「地」が作られたという。 ちなみに「土」は丸めた土を台の上に置いた形でこれを土地の神(土主)とし、社(やしろ)のもとの字。  天地創造は神々しいが天地無用は単なる上と下。天地人(てんちじん)は三つのものの順序や成績の序列。
「天地」は天と地という意味の他、人間の生存する場所、世界の意。類語は「天下」、「天外」は天の外、奇想天外。

辞書を見ていてのちょっと目についたおまけを2つ。


天婦羅…ポルトガル語のクワトロ・テンポラス(四季斎日=鳥獣の肉を食べない日)からきたという。(新明解国語辞典)
天庭…ヘブンズガーデンと言ったら天使が飛んでいそうですが、これは、眉と眉の間(転じて額)のことだそう。

天機深遠の額の写真
家の正月飾りです。
何やら深遠な意味がありげ…正月ムード作り用(^_^;;


最後に、関西雨水市民の会のメッセージ
自然の恵み「雨水(あまみず」を溜めて活用、大地に浸透させて活かし、 雨だけで植物が育つ緑化工法などで、私たちの住む街を緑いっぱいにしたい」
http://hana.karakusamon.com/2007/20070913.html

2011年9月2日 (金) 台風がやってきました。
雨暴風雨に・・・何事もなく好きますように・・・(祈)
さて今年の雨水利用?を追加しておきます。

みどりの体感ドーム


みどりの体感ドーム


ゴーヤーのみどりのカーテンのドームバージョンです
詳しくはこちら
http://hana.karakusamon.com/2011/midori_cartain_08.html
図像INDEX 唐草文様の根源エジプト

(first updated 2007-10-25(木),07/28/2010


クレオパトラ

サーチボックスあり