色のしくみ


『徹底図解 色のしくみ―初期の光学理論から
色彩心理学・民族の色彩まで』
城 一夫 著 新星出版社 (2009/03)
この本は「私たちの生活環境の中で、色彩がいかに重要な役割をはたしているかを多角的な視座から考察する]ものだということであるが、非常に すっきり、しかも多彩に、まとめられています。
社団法人日本図書館協会選定図書

目次読書
(章題とキーワード)

meこのなかで、9章の世界各国の色彩文化・・民族、風土、伝統などによる、独自の色彩文化が、私のメイン対象です
1.光と色・・太陽光と人工光、虹、光環、色温度、色材=染料、顔料、インキ、塗料

ニュートン(1642-1727)の光の科学 7つのスペクトルに分光する・・アリストテレス以来の「色は白と黒の間にある」という色彩観に相反するもの

「オリジナルな基本色は赤、黄、緑、青及び菫であり、それに橙、藍が加わり、更にその中間に無限の色がある」虹の色の順 byニュートンの色相環

「有彩色の配列を、白、黄、赤、緑、青、紫、黒の7色の配列とした。」byアリストテレス

ゲーテの有名な実験:ロウソクの青い影・・・夕日に向かって燃えているロウソクを白い紙の上に置き、夕日とロウソクの間に1本の鉛筆を立てたとする。「夕日に照らされた鉛筆の影は黄赤であるのに対して、ろうそくの夜影は美しい青色に見える」 by ゲーテ[色彩論](1810)・・この研究に30年かけた

2.光が見えるしくみ・・眼の構造と大脳の働き、色の感覚と色の知覚、残像、対比、同化、主観色、錯視、記憶色、色の見え方のふしぎ
3.色を表すしくみ・・慣用色名、顕色系の代表的カラーオーダーシステム=マンセル表色系・NCS(Natural Color System)・PCCS(日本色研配色体系)、混色系のXYZ表色系、Lab表色系
4.混色と色再現・・・色光の3原色・色材の3原色の混色、加法混色、減法混色
5.色と心理・・・色彩心理、色の連想、色の寒暖、軽重、派手・地味、色のイメージ調査法=SD法

膨張色、収縮色、進出色(暖色系の赤、橙、黄)、後退色(寒色系の青と青紫)

SD法(Semantic Differential scale method)=心理学測定法・・評価尺度の両側に「明るい⇔暗い」「派手⇔地味」などの反対の意味をなす形容詞対を置き、その間に5〜7段階の評価尺度を置く。

6.色彩調和論と配色調和・・過去の有名な色彩研究者による色彩調和論の紹介(※)、 産業界で用いられる配色技法

『色彩の同時対比の法則』シュヴル―ル(1786-1889):19世紀のフランスゴブラン織り製作所染色部門監督官・・印象派の画家の「色彩のバイブル」

オストワルト:ドイツの科学者・・・調和論を客観的に秩序づけて論じた 

『色彩の芸術』ヨハネス・イッテン(1888-1967):スイスの科学者・・・ある色とその補色残像色を混合すると、人間の視覚が要求する平衡状態としての無彩色になる・・それらの色は互いに調和する・・2色から6色の色の組み合わせを類型化 

ディーン・ブリュスタ―・ジャッド(1900 -1972):1955年の論文 ジャッドの4つの原理=秩序、親近性、類似性、明瞭性の原理・・・国際色彩学会(AIC)にはジャッド賞がもうけられている

7.生活と色彩・・生活色彩(=景観、インテリア、家電、商品、CIカラーなど)
視認性、誘目性、識別性
8.これからの色彩・・視覚言語としての色彩などの動向と変遷の動向と変遷
9.世界各国の色彩文化・・民族、風土、伝統などによる、独自の色彩文化(※以下にまとめ)

オランダ

運河を照らす陰翳に富んだ「オランダの光」から、フェルメール、レンブラント、ゴッホ、モンドリアンなどの巣くれた芸術家が生まれた
「デルフト・ブルー」

(P200) サンタクロースの赤、白、緑
4世紀小アジアの聖ニコラス伝説に由来し、14世紀ころからオランダで聖ニコラスの命日の12月6日を「シンタクラ―ス祭」として祝う習慣が生まれた⇒17世紀アメリカに植民したオランダ人が「サンタクロース」を伝え、白いトナカイ、赤い頭巾と衣服、柊の緑はクリスマスの風物詩となった

(※疑念あり)

ドイツ

ドイツ国民の先祖はゲルマン民族で、森林民族。精霊(樹木崇拝)信仰を基本とする習慣は現在まで残っていて、グリーンマン(植物=人間)もその一つ。

ヨハン・ベッドガーが、1709年白磁の生産に成功。(マイセン陶器)

森の色に調和する色彩を用いての景観形成・・森の色は濃淡様々に変化する。街の色も、その街の土で焼いたレンガ色により、千変万化の色彩を見せる。(p202)

イギリス

イギリスは青の国:イギリスの嗜好色は青、光色は色温度が高く青みを帯びている・・ジャスパー・ブルー(ウェッジウッド) 、オックスフォード・ブルーなどなど、ガーター勲章(ブルーリボン)、保守党の色・・古代、ケルト人はアブラナ科の植物のウォード(woad)を発酵させてつくる染料で、身体を青く染色して戦ったと言われる・・青は土着の色彩
 11世紀 紋章の規定、「金属色(金・銀)より1色、原色より1色以上を必ず使用すること」

イタリア

イタリアの三色旗(赤、白、緑がシンボルカラー)イタリアの独立の象徴である赤・・軍人マルスを象徴する、「赤シャツ隊」「ポンペイ・レッド」
イタリアの緑のハート=オリーブの茂るウンブリア地方
地中海のブルーと白、アズール・ブルー
マジョリカ陶器の黄と褐色と白

フランス

フランス・・ロイヤル・ブルーと3色旗(トリコロールー青、白、赤・・自由、平等、博愛)
ポンパドールのピンク、風景を彩るワイン色と黄色(ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュも色名)

ポンパドールのピンク
78万円!!?? 

アフリカ

汎アフリカ色= 「緑・黄・赤」・・緑(森林資源・農業)、黄(鉱物資源、黄金、正義、団結)、赤(独立のために流した血、情熱)
ナイル・ブルー(緑がかかった薄い青、生命の色)、肌が黒いはほめ言葉、白は神の色

ラテン・アメリカ

ラテン・アメリカは華やかな色彩に輝く・・リオのカーニバル
モラ=パナマ共和国のサンブラス諸島の原住民クナ族によって造られる派手な色遣いの伝統的なアップリケ

KunaWomanWithMolas.jpg
"KunaWomanWithMolas" by Ian Cameron Smith. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.

イスラム圏

イスラム圏 楽園の色としての緑、モスクの青緑、チャドルの黒

中国

中国・・陰陽五行説による色彩=宇宙をを構成する一つ:青、赤、黄、白、黒の順で循環する
漢民族の赤:伝説の「黄帝」は赤を民族の象徴として用いた
白は裳の色、花嫁は赤を着る
墨色(黒)の世界「墨は五彩を兼ねる」

日本

日本:神道を旨として白、赤、黒、緑が畏敬され、襲の色目など雅の世界を築きあげた
陰陽五行説の色 :大相撲の土俵の四隅を飾る四本柱(青、赤、白、黒の房)
千利休・・黒と白の美学、無彩色への憧れ→川久保玲に代表される黒のファッションやブラック家電など
地味色を「」とする美意識 四十八茶百鼠 、役者色、黒川紀章設計効率民族学博物館【1977】の外壁は利休鼠色

国旗に象徴される色彩の意味

太陽(日本)、博愛(フランス)、独立のために流した血、共産主義(中国)、陰陽の陽(韓国  
豊かな鉱物・地下資源(南米)、金(スペイン)、王家の権威(ブータン)、太陽と国土(グレナダ)  
イスラム教の象徴(緑一色のリビア他)農業(バングラデシュ)、豊かな森林資源(ブラジル)、自由(イタリア)誠実と希望(ハンガリー)  
自由(フランス)、希望(キューバ)、正義(アルゼンチン)、青い空(エクアドル)、カリブ海(べネスエラ)、太平洋(ナウル)、インド洋(タンザニア)  
平等(フランス・イタリア)、平和(ペルー)、純粋性(サモア)、清浄(メキシコ)、雪(フィンランド)  
黒人・大地・自由(アンゴラ)、過酷な戦争(アラブ首長国)、困難に打ち勝つ意思(ジャマイカ)  
オレンジ ヒンズー教(インド)、玉今日(ブータン)、プロテスタント(アイルランド)杭の反映(ザンビア)  

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